※歌がなくても魅力的!HM/HRインストゥルメンタルの世界を紹介します。
スウェーデンのヘヴィ・メタル・バンド、 タイム・レクイエム(TIME REQUIEM)が、2002年にリリースした1枚目のアルバム『Time Requiem』の5曲目に収録。
強烈に歪んだディストーションギターこそがHM/HRの音楽的な象徴で、それだけにギタリスト中心の音楽であるのは言うまでもないですが、各時代にギタリストと同等、それ以上目立つキーボード奏者も輩出してきましたね。何かしらのネオ・クラシカルな音楽性を携えてシーンでその存在感をアピールしてきました。
古くはディープ・パープルのジョン・ロードが真っ先に思い浮かびますし、80年代にはシルヴァー・マウンテンのイェンス・ヨハンソンなども登場してきました。そして、2000年代前後でアーテンションのヴィタリ・クープリとともにとりわけ記憶に残るのが、このリチャード・アンダーソンでしょう。
「鍵盤魔人」という凄まじい異名を誇るリチャードは、幼少期からピアノを学びクラシックに精通していましたが、イングヴェイなどに影響を受けてロックミュージックにのめり込み、ネオクラシカルなメタルを標榜するマジェスティックのキーボード奏者としてHM/HRシーンに登場しました。
そしてマジェスティック後に、ネオクラシカルかつプログレッシヴでテクニカルなメタルの要素を強化して結成したのが、タイム・レクイエムでした。もちろんバンド名義ですし、シンガーとしてマジェスティックにも参加し、のちにファイアーウインドやスピリチュアル・ベガーズで活躍するアポロ・パパサナシオが在籍していますが、実態はリチャードのキーボードの独壇場!
ソロも歌バックでもおかまいなしに、終始ピロピロと曲芸のごとき強烈な速弾きを披露。2メートルの長身のルックスも相待って「鍵盤魔人」と呼ばれたわけですが、メタルにおいてギターもボーカルも完全に押しのけてます(笑)。
ヴィタリが曲中において3割程度のイメージならリチャードは8割くらいキーボード祭りで(笑)、これだけ主張が激しいキーボードは中々存在せず、その方法論は超絶技巧も相待って衝撃でしたね〜。
歌モノでも十分リチャードのプレイを堪能できますが、今回ピックアップした「Brutal Mentor」は、その真髄をとことん味わえるネオクラシカルなインスト・チューンです!打ち込みのシーケンサーじゃないの?と言うくらいに、恐ろしい音数でピロピロ弾きまくるプレイは圧巻そのもの!
緩急もへったくれもないですし(笑)、音色が聴きようによっては微妙なので好みがわかるそうですけど、その曲芸的なプレイは、アーティストのプレイアビリティが高まっている今聴いても十分楽しめます。
最近は名前を聴かないリチャードですけど、かつてイングヴェイのバンドにも誘われたようで、実現したらどのくらいエゴがぶつかり合ったのか、聴いて見たかったですね!
ぜひ、一度聴いてみてください!