※歌がなくても魅力的!HM/HRインストゥルメンタルの世界を紹介します。
アメリカのハード・ロック・ギタリスト、 ヴィニー・ムーア(Vinnie Moore)が、1986年にリリースした1枚目のソロアルバム『Mind's Eye』の1曲目に収録。
80sのシュラプネル系が誇る数多のシュレッダーにおいて、先鋒トニー・マカパインに次ぐ、第二の刺客として登場したヴィニー。その正確無比で歌心のある高度なギタープレイで、長くHM/HRシーンに君臨してきました。
デラウェア州ニューキャッスルで1964年に生まれたヴィニーは、12歳から本格的にギタリストとしてのキャリアをスタートし、ロックのみならずジャズギターの心得などあらゆる理論を習得。マイク・ヴァーニーにその才能を見出され、ヴィシャス・ルーモーズのデビュー作に客演を果たすことで、80sのメタルシーンに送り出されます。
この時はバンドでツインギター体制だったこともあり、ヴィニーのプレイだけに注目が集まることはなかったものの、後で振り返ると、リードパートには無限のポテンシャルの一環が垣間見れますよね。
そして、21歳の若さで制作されたのが、オールインストによる初のソロアルバムとなる本作でした。バックにはトニー・マカパインをキーボード奏者に迎え、ドラマーには名手トミー・アルドリッチと強力な布陣が集まりました。
シュラプネル第一弾だったトニーの作品が、イングヴェイを拡大解釈したネオクラシカルかつシュレッド満載で革新的な作風だっただけに、ヴィニーの音源やギタープレイを当時リアルタイムで聴いてみて、正直さほど特徴を感じられなかったも事実です。
それは翻ってみると、決して派手さは無くとも堅実な作風で、完成度が高い証でもあったんですね。ギタープレイ然り、楽曲然り、ギターインストとして実にバランスと調和のとれた理想的な作風であるのがわかります。これを20代そこそこで作り上げたのは驚異的ですよね。
ヴィニーはソロ活動と並行しつつ、1991年にはアリス・クーパーの『Hey Stoopid』やツアーに参加、さらには2003年から、まさかのUFOに参加。あまりの違和感にピンチヒッターでしょ?と思いきや、パーマネントなギタリストとして長期間在籍し、アルバムも複数枚作るなど活躍しています。まさにバランスのとれたギタリストしての力量があってこそでしょう。
今回ピックアップしたオープニングを飾る「In Control」は、ソロギタリスト、ヴィニーとの出会いとなった、ハード・ロック・ギター・インストチューンです!
ギタープレイは高度なシュレッドが炸裂していますが、楽曲自体はスピードに頼らず、トミーの叩き出すボトム重いツーバスのリズムが、メタリックなダイナミズムを生み出していますね。スリリングなユニゾンや、トニーのキーボードとの壮絶なバトルも聴きごたえ十分ですね!
ぜひ、一度聴いてみてください!