元メタリウム(METALIUM)のベーシスト、ラーズ・ラッツ(Lars Ratz)ことLars Ranzenbergerが、2021年4月18日、53歳で亡くなりました。
ドイツからスペインのマヨルカに移住していたラーズは、その日、自身が所有していた小型飛行機(グライダーのような形状)を、一人で操縦し、遊覧中に墜落の悲劇に見舞われました。現地のニュース映像で、跡形もない飛行機が残る現場の様子が伺えます。メタル系アーティストの小型飛行機での死といえば、どうしてもランディ・ローズを想起しますが、またこうした悲劇に見舞われてしまいました。
メタルのど真ん中を行く、男らしくエピックなジャーマン・パワー・メタル・バンド、メタリウムを結成して率いたのがラーズでした。日本でもその豪快実直な鋼鉄サウンドは、ダイハードなメタルファンに人気を集めました。
特に「METAL」の文字をフレットに刻んだベースを、ブリブリと豪快にかき鳴らした総帥ラーズは、ベーシストながら最も濃いキャラとして愛されていました。2005年にはドリーム・イーヴルと来日公演を行ったり、日本人女性メタルシンガー、SAEKOのプロデュースをしたりと、日本とも何かと関係の深いアーティストだったと言えるでしょう。
今回の訃報を受けて、一貫してメタリウムで活動を共にしてきたシンガーのヘニング・バッセ、メタリウムの初期に活動を共にした、サヴァタージでもお馴染みのギタリストのクリス・キャファリーらから、追悼のコメントが出ています。2011年にすでに解散したメタリウムですが、クリスと再結成やツアーの話をしていた矢先だったようで、夢は実現前に終わってしまいました。
ラーズの生前のツイートを改めて見ていると、ヨーロッパの美しい景色の中で小型機を操縦して、とても幸せそうな日々の様子が伝わってきます。悲劇ではありますが、ミュージシャンをセミリタイヤして、自分のやりたい人生を歩んだことは、幸せだったのではないでしょうか。
今日は99年のデビューアルバム『Millenium Metal(Chapter Ⅰ)』から、彼らのテーマ曲と言える勇壮なメタルアンセム「Metalium」でのラーズのエッジの効いたパワフルなベースプレイを聴いて、ご冥福をお祈りしたい思います。
R.I.P. Lars Ratz