全米で好評を得たスタジアムツアーの流れを受けて、デフ・レパードとの来日公演が今年予定されているモトリー・クルーですが、ミック・マーズとの間でお家騒動が勃発中してしまいました。
ミックは脊椎の疾患により2022年10月にモトリーを脱退しましたが、バンドは周知の通り後任にジョン5を迎えてツアー活動を継続しています。ミックはバンドの共同創始者の一人ですから、単純計算では権利を持つ株式会社モトリー・クルー(そんな名前じゃないでしょうが笑)の収益の25%(メンバー4人ですから4分の1ですね)を、元メンバーとなった今後も得られるはずでした。
ところが、バンド側はミック脱退後に行われている現在のツアー収益の7.5%を持って、ミックが得られる最後の収益にすると本人に通告したとか。これに対しミックは大激怒し、バンドを相手に訴訟を起こしたということですね。
う〜ん、会社員なら勤めた会社を辞めた時点で今後報酬は得られないわけですけど、ミックはバンド関連各社の株式を他のメンバーと同等に保有しており、ミック側の主張では最後のツアーを痛みに耐えて予定よりも長くこなしたにも関わらず、バンド側が一方的にミックを排除しようと画策したと捉えているようです。
訴えただけでは腹の虫が収まらなかったようで、、80年代当時から他のメンバーがミックを中傷してきたことや、挙げ句の果てに、最新ツアーでバンドがバックテープを流し一部演奏していなかった!と衝撃の暴露。ヴィンス、トミーに加え、ニッキーに至ってはベースを一音も弾いていないと。。完全にメタル界のガーシー化してますね(笑)。
これに対し、バンド側は事実無根と否定、契約も同意したものだと主張し、泥沼化の様相と呈しています。ニッキーは最新のコメントで、ミックを批判せずに気遣う姿勢を見せているのがせめてもの救いですが、なんだかなあ〜という印象を受けます。
ミックがいかにモトリーを共に作り上げ、黎明期のバンドを支えて大きな役割を果たしてきたのか、彼らの映画「The Dirt」において明確に描かれていましたし、そのレガシーに対する冒涜と受け止めてしまうのも理解できるところでしょう。
一方で、病状に起因するとはいえ、満足いくギタープレイができなくなったミックと袂を分かち、まだまだ商品価値のあるモトリーの活動を、フレッシュなギタリストと共に継続させたいという、バンド側の思惑もわからなくはありません。
こうした永きキャリアを重ねたビッグネームが、オリジナルメンバー脱退後も、引き続きバンドが継続するケースで、同じような揉め事が繰り返されていますよね。例えばキッスとエース・フレーリー、ジューダス・プリーストとKKダウニング、ジャーニーとロス・ヴァロリー、スティーヴ・スミスを始め、枚挙いとまがありません(ラットはごちゃごちゃ過ぎて比較になりませんね笑)。
モトリーの件をネットで見ていると、KKダウニングが「俺はミック・マーズの気持ちが痛いほどわかる」と、待ってましたとばかりにコメントしていて(笑)、自分の身にかつて起こった騒動に重ねたようですね。
結局はお金の問題でしょ?と思われがちなんでしょうけど、突き詰めていけばお金というより、黄金期に重要な役割を果たしたメンバー、バンドを作り上げたオリジナルメンバーとしての「プライド」そして「ジェラシー」の問題なんでしょう。とりわけモトリーの場合はほとんどメンバーチェンジなしですからね。
事情はどうあれ「重要メンバーのオレが脱退した後に、なんでまだバンドが継続してるの??する必要があるの??」という強烈な嫉妬心がこうしたトラブルの根幹にあるように思えてなりません。
一番理想的なのは、ある時点でメンバー全員合意の上バンドを解散し再結成しない、もしくは、再結成するにしても同じメンバーで始動する。オリジナルメンバーが脱退した時点でバンドを潔く解散する。それくらいしか遺憾を残さない方法はないかも知れません。とはいえ、会社のように巨大な組織になったバンドでも、詰まる所は人間関係に由来する問題ですから、そんなに杓子定規にはいかないでしょうけどね。
今回のモトリーの騒動については、バンドを継続させるのであればミックへ正当な報酬はもちろん、ツアーをする中でミックの体調さえ問題なければゲストで少しギターを弾いてもらうとか、ステージに上げて紹介するとか、リスペクトを持って彼の自尊心を傷つけなければ、怒りは起きなかったはずです。
何より、ファンにとってはいくらスキャンダルまみれの歴史を彩られたモトリーと言えども、妥協点を見つけてソフトランディングしてほしいなあと願ってしまいますよね。どういう決着になるのかわかりませんが、今後の動向に注視したいと思います!
それにしても、本当に演奏してなかったですかね、、、暴露についてもちょっと気になります(笑)。