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【音楽コラム】中野サンプラザ閉館とラウドネス『LIVE-LOUD-ALIVE LOUDNESS IN TOKYO』

昨日のTwitterのトレンドに「中野サンプラザ」が上がっていたので、ひょっとしたら今日だったかな?と思っていたら、やはり7月2日が閉館日だったんですね。閉館が決まってからしばらく経っていたので、すっかり正確な日付を忘れてましたが、最後は山下達郎のライヴだったとのことで、ネットニュースにもなっていました。

 

閉館時には外に大勢の人々が押し寄せたようですが、セレモニー的なものは関係者のみだったようです。最後であれば(やったのかも?しれませんけど)楽屋やステージからの風景を体験できるようなホールツアーや、観客も入れたお別れセレモニー的なものを、ライヴ以外で企画してもよかったんじゃないでしょうか。

 

いずれにせよ、1973年の開館以来、50年にも渡る歴史が終わってしまったのは、建物の老朽化や再開発のためとはいえ、なんだか早すぎる感がします。例えば、同じような規模のイギリスのハマースミスアポロ(オデオン)辺りだと1932年開館ですからね。やはり、建物に対する考え方も違うように思えます。

 

日本でも武道館のように、会場の歴史とともにライヴの歴史が未だに刻まれ続けている貴重な聖地もありますけど、中野サンプラザもライヴ会場としてまさにそうした存在のひとつになっていましたからね。

 

いろんな音楽ジャンルのファンにとって、それぞれの思い出が蘇るでしょうが、ヘヴィ・メタルハード・ロックファンにとっても、洋楽、邦楽問わず、とりわけ90年代初頭までは様々な名演が繰り広げられたイメージがあります。キャパが2200程度のオール固定席で、とにかく見やすい規模でしたからね。

 

ところが90年代以降、わざわざPAやライティングを持ち込む費用や手間のかからないライヴハウス型の小屋が増えていき、サンプラザのような市民会館型でこの規模のホールが、メタル系のライヴでは次第に使われなくなってしまいました。

 

ライヴで騒ぎたい、暴れたいときは勿論ライヴハウス型の方が適切かもしれませんが、盛り上がりつつもじっくり音楽も味わいたい、アーティストを肉眼でしっかり凝視してステージの演出も堪能したい。そんな願いを叶えるのにぴったりな会場でした。

 

中野サンプラザに行くと、エントランスからあの正面の大階段を上がり、登り切ってから二重トビラを開けて、探した座席に腰かけてライヴへの想いを巡らす。そんな暗転までの時間がひとつの様式のようで、その所作一つひとつから、ライヴへのワクワク感を掻き立てられたものです。

 

個人的に中野サンプラザでの一番の思い出というか後悔は、83年9月24日に同所で行われたラウドネスのライヴに関してですね。飛ぶ鳥を落とす勢いでジャパメタシーンの頂点に君臨したラウドネスは、この日のライヴをレコーディング。後日、この音源を2枚組ライヴアルバム『LIVE-LOUD-ALIVE LOUDNESS IN TOKYO』としてリリースしています。俯瞰でサンプラザのステージ全体を撮影したクールな写真が、裏ジャケに使われていますね。

 

残念ながら、このライヴ自体に参戦できなかったのが、まさに後悔です。その分、アルバムを聴き狂いましたね。初期のラウドネスのスタジオ作は、唯一のウィークポイントがサウンドプロダクションだと感じていましたが、このライヴ盤はクリアで抜けの良いパワフルなサウンドに仕上がっていて、彼らの凄まじいパフォーマンスを見事に記録しており、初期の楽曲も何倍増しにも良く聴こえます。

 

ある意味、初期ベストとしても楽しめますし、ソロプレイやシングル楽曲も収録されています。海外進出前のマグマのように溜まったエナジーを存分に味わえるので、ラウドネスのライヴアルバムとして1番だけでなく、メタル史に残るライヴ作品としても必聴作に数えられるべきでしょう。

 

後日、何度も中野サンプラザに足を運んだ際に、裏ジャケで見たことのある会場全体の風景を眺めて、あのラウドネスのライヴ盤が収録された会場なんだ、と興奮を隠しきれませんでした。実際にラウドネスのライヴを観た際には感慨もひとしおでしたね。少しでもそうした思い出を残せたのは良かったのかもしれません。

 

 

新しい中野サンプラザは、2028年開業とのこと。ひとつ気になったのはキャパ7000という規模ですね。これまでの2200キャパならではの、アーティストを身近に感じながら得られる一体感がどうなってしまうのか、ちょっと先ですが楽しみに待ちたいところです。

 

さて、今回の1曲はもちろんラウドネスの『LIVE-LOUD-ALIVE LOUDNESS IN TOKYO』からです。この日のライヴ、作品が凄いのがここでしか聞けない新曲2曲「I Was the Sun」「Fly Away」が収録されていること。丁度40年前の中野サンプラザの空間でしか披露されなかったわけですから、このライヴ盤の希少性を高めていますね。

 

こちらSpotifyは解禁されておらず、現時点ではApple Musicのストリーミングで聴けますね。2曲選ぶのが難しいのでどちらも貼っておきます(笑)

I Was The Sun

I Was The Sun

Fly Away

Fly Away

アルバムはこちら!