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【R.I.P.】ウェイン・クレイマー(Wayne Kramer)/ MC5(エム・シー・ファイヴ)

MC5(エム・シー・ファイヴ)のギタリスト、ウェイン・クレイマー(Wayne Kramer)が、2024年2月2日、75歳で亡くなりました。膵臓がんを患った末の訃報でした。

 

MC5のオリジナルメンバーでは、ロブ・タイナー(Vo)が1991年、フレッド・スミス(G)が1994年、マイケル・デイヴィス(B)が2012年にそれぞれ亡くなっており、残されたのがデニス・トンプソン(Ds)だけとなってしまいましたね。

 

ロックは歴史を重ねる中で、無数のジャンルにカテゴライズされていきましたが、ヘヴィ・メタル、パンク、ハードコア、ラウド、オルタナを始め、ことサウンド面の激しさにフォーカスしてロック史を見ていくなら、それらの偉大なる始祖のひとつとして、MC5の存在に辿り着くのは必然でしょう。

 

1963年にデトロイトで結成された、この伝説のバンドが1969年に送り出したデビュー作『Kick Out the Jams』の超ド級の衝撃たるや、発売から55年もの歳月が経過した今、例え現代の技術であるスマホを通じてストリーミングで聴いても、いささかの陰りもありません。

 

1968年10月、地元デトロイトグランドボールズルームでのライヴの模様を克明に捉えた歴史的な音源。そこには終始とてつもない破壊力を持った轟音が響き渡ります。PAシステムの構築もままならない時代に、聴くものすべてを吹き飛ばす勢いで轟くワイルドな爆音は、まるで目の前でバンドが演奏しているかのごとき生々しさで鮮烈に耳を直撃します。

 

その破壊的な音像の中心的な役割を果たしたのが、ウェインのギターでした。時代を何世代も先取りするノイジーに歪みきったギターサウンドと荒々しいプレイは、のちに現れる数多のギターロック、ラウドなロックミュージックのプロトタイプとして崇められるべきでしょう。

 

政治的な体制批判、左翼的なメッセージ性も相まって、ロックが本来の意味でロックだった時代の真髄を味わせくれるバンドでしたし、そんなMC5の創設メンバーとしてのウェインの功績は計り知れないものがあります。全盛期にはわずか3枚のアルバムだけを残したのも、疾風怒涛のごとき音楽性を体現するかのようでした。

 

各アルバムはストリーミングでしっかりと味わうことができますので、HM/HRファンとしてもこの機会に、価値の大きさを改めて振り返りたいものです。

 

追悼の1曲として、やはり『Kick Out the Jams』からタイトル曲を選びました。ロックに革命を起こした”Kick out the jams ! Motherfucker! の強烈極まりないコールから始まる「Kick Out the Jams」の最強リフを聴きながら、ご冥福をお祈りしたい思います。

 

R.I.P. Wayne Kramer